こんにちは!桜も日本各地で次々に満開となり、ゴルフシーズンも到来するこの時期にやってくるのが…
世界中のゴルファーが熱くなるマスターズトーナメントです!
一昨年、松山英樹がアジア人初のマスターズ制覇を成し遂げた瞬間は、今も鮮明に覚えています。実況アナウンサー、解説者ともに涙で55秒間沈黙が貫かれた映像は、二年前とは言え皆さまも記憶に深く刻まれているのではないでしょうか。
そして昨年は、世界ランク1位のスコッティ・シェフラーが勢いそのままに堂々の優勝を遂げたり、14ヶ月ぶりにメジャー大会に復帰したタイガー・ウッズの出場もあったりと、毎年さまざまなドラマが繰り広げられる本大会。
今年はどのようなヒーローが誕生するのでしょうか!?
そこで今回のメルマガでは、ゴルフコース設計家の東裕二氏を招いて昨年開催したオンラインセミナー、『設計家と語るマスターズ』より、マスターズトーナメントの観戦が一段と面白くなるマスターズトリビアをお届けしたいと思います。
大会を目前に控えた今だからこそ知っておきたいオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブの見どころや、「アーメンコーナーは設計家から見てもそんなに難しいの?」など素朴なギモンの答えまで、改めてお伝えしていきます。
本記事を読んで、マスターズをさらに楽しみましょう!
オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブの設計者
生涯アマチュアを貫きながら、全米オープン・全英オープン・全米アマ・全英アマを制覇するという偉業を達成したゴルファー、ボビー・ジョーンズ。
現代のゴルフコース設計の礎を築いた、ケンブリッジ大学出身の医学博士兼ゴルフコース設計家のアリスター・マッケンジー。
この二人が共同設計して創られたのが、オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブです。
ある年、ボビー・ジョーンズが全米オープンに負けてしまい時間を持て余していたとき、会場近くのサイプレス・ポイント・ゴルフクラブでプレーをしていると、そのコースが大変美しく気に入りました。サイプレスを設計したのがまさしくアリスター・マッケンジーであり、ボビーの頭の中で自分がコースを創るときに依頼したい設計者の候補にマッケンジーを考えていたというエピソードが残っています。
オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブの設計思想
まずは、初心者からプロまで、誰もが楽しめるゴルフコースであること。
そして自然を生かし、美しい景観を守ること。
オーガスタはもともと植物園だったことをご存じですか?今もさまざまな花が咲き誇っており、テレビで見ていても、グリーンの緑に赤・白・ピンクなどの彩りが映えている風景を見ることができます。
オーガスタ観戦に行かれたことのある米国PGAメンバーの野村祥子氏(前回(2023/3/3)の住地倶楽部オンラインセミナー講師)は、コースに出るとお花の香りがしたというお話をされていました。
また、ラフやブッシュなど煩わしさが無いコース、錯覚を持たせるコースなどの設計思想のほか、フロントナインとバックナイン(ハーフでクラブハウスに戻ってくる設計。今のINとOUTコースのようなかたち)が初めて考案されたのもオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブだそうです。
さらに「誰もがもう一度行きたくなるコース」という点も大切に設計されました。
オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブのトリビア
オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブは営業期間も毎年10月から5月までの8ヶ月間と限られており、謎に包まれているところも多い、世界の憧れのコースです。
下記のエピソードはそれぞれ証拠はないため定かではありませんが、ゴルフ仲間とのマスターズ談話にぜひ。
・人工物はほぼなく、ティーグラウンドにも〇番ホールという立て看板やヤーデージ看板が無い(こちらは事実です!)
・グリーンの芝種は1980年にバミューダグラスから、ベントに張り替えられたと言われている
・アザレアという花が多く植栽されているが、マスターズの時期に満開になるように種を氷漬けしていると言われている
・会員はわずか300人程度で、会員権自体は5,000ドル程度だが、年会費が40,000ドル、会員になるためには厳しい基準があり、ビル・ゲイツや、ウォーレン・バフェットなどがいる。かつて日本人メンバーも一人だけいたと言われている
・2002年の大改修の際に約300人のメンバーに向けて「白紙の小切手を送ってください」という手紙がだされたと言われている
(一体いくらかかったのでしょうか・・・)
マスターズトーナメントのトリビア
大会自体にもさまざまなエピソードや伝説が語られています。改めて、マスターズトーナメントとはどのような大会なのか、おさらいしてみましょう。
・出場者は、過去の優勝者、他メジャー大会の5年以内の優勝者、世界ランク50位以内、世界・全米・全英などのアマチュアタイトル保持者とされ、招待状はクリスマスに届く
(まさに世界中で活躍するゴルファーへのサンタさんからのプレゼント!)
・マスターズ・トーナメントの会場演出はウォルト・ディズニーが担当していると言われているが定かではない
・優勝賞金は正式な金額がなく、大会期間中のチケットやグッズ・放映権の売上によって決められるため事前に告知されていないが、松山選手の優勝した年は約2.3億円だったとされている
(大会の規模が物語られます・・!)
・フェアウェイのゼブラ模様がないのは全て逆目で刈り込まれているため。一気に刈り込むため、期間中は周辺コースの芝刈り機を総動員させて作業される
(オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブだけでなく周囲の協力があって大会が成り立っていることを実感。ゼブラ模様が無いこと、気付いていましたか?)
・観戦チケットは以前はパトロンのみが入手可能だったが、2011年から一般にも抽選で販売開始。2022年は練習ラウンドが $75で本選は $115という価格だったが、ネットではその数十倍の価格で取引されている。
コース設計家から見た、オーガスタの面白さ
ラフがない(ファーストカットまでしかない)ため、ピンポジションだけでショットの評価が決まる点、バックナインの後半にバーディーホールがあるので、最終組にプレッシャーがかかる構成になっている点、ショットバリュー(正確なショットとミスショットがしっかりスコアに反映されること)が高い点などが、設計家から見たオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブの特徴だと東氏に教えていただきました。
また、勾配があってボールが転がるため、動きが止まるまで観客はボールにくぎ付けになり、エキサイティングな戦いが繰り広げられます。グリーンの速さも13フィートほどと言われており、非常に速いのが特徴です。
2005年のマスターズ、16番ホールでのタイガー・ウッズの名シーンを覚えていますでしょうか?気になる方はぜひYoutubeなどで検索してみてください。
マスターズが面白いのは、世界中のゴルフプロが集まるからだけではなく、コース自体がゲームを盛り立てるような設計になっていたことを知り、人々が魅了される所以を感じました。
設計家から見た注目ホールとは?
魔女が棲むと言われ、選手も神に祈るしかないと言われるアーメンコーナー(11~13ホール)はもちろん、15ホールも見どころ。コース設計家ならではの視点で、マスターズをさらに奥深く観戦できる情報が満載だったこちらのオンラインセミナー。せっかくなので、その一部を動画で公開しちゃいます!
(※動画の中での「今年」は2022年のことです)
520ヤード、Par4の11番ホール。昨年改修され、約20ヤード距離が長くなりました。右に林があり、入れてしまうと厄介ですが、飛ばせる人であれば2オンも可能なホールです。
そしてなぜか乗らないと言われている155ヤード、Par3の12番ホール。少しでもドローするとグリーンから落ちてしまい、フェードだと手前の池にはまってしまい、かつ風の影響も受ける難所です。
そして大きく左にドッグレッグしている510ヤード、Par5の13番ホール。セカンドは球を曲げて打たないと、林の先にいかないので、ティーショットが鍵となります。グリーンも手前にクリーク、奥はバンカーと大変難しいホールです。
そして15番ホールはまっすぐの550ヤード、Par5のホール。このホールも昨年の改修で20ヤードほど距離が長くなりました。グリーン手前が池となり、グリーンの奥行きも無いため、3打目が非常に難しくなります。
13番、15番はバーディーが出ることもあればスコアを叩く可能性もあるホールとなり、選手のスコアが大きく動くことでハラハラドキドキの展開となるのです。
みんなでマスターズ観戦を楽しもう!
いかがでしたでしょうか?
コース設計家のお話を聞く機会はめったになく、住地倶楽部運営側としても大変興味深いオンラインセミナーだったなあと改めて感じました。記事を書いていると、今年のマスターズがさらに楽しみになり、早く見たいなあとワクワクしております(笑)
本記事を読んで下さった皆さまが、今大会は選手のスイングや試合展開だけでなく、コースに咲く花々、ゼブラ模様のない美しいフェアウェイ、そしてアーメンコーナーを選手たちはどう打って攻略していくのか!?など、コアな目線でマスターズを楽しんでいただけると大変嬉しいです!
本記事のご感想も、下部のコメント欄よりぜひお寄せください。
本記事の内容元である、昨年の4月6日に開催したイベントページはこちら↓
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