今年の全英オープン開催コース「St Andrews Old Course」は世界のゴルフコースの原型?

世界最古のゴルフトーナメント「全英オープン」、今年の舞台は世界最古のゴルフコースと言われる「St. Andrews Old Course」です。

そんな全英オープンとSt.Andrewsについて知っておくと、観戦を楽しめることはもちろん、ゴルフの歴史や文化についてもより深く理解することが出来ます。

目次

世界最古のゴルフトーナメント

今年第150回という節目のメモリアル大会となる全英オープンですが、ゴルフトーナメントとしては世界最古と言われており、その歴史は1860年にスコットランドのプレストウィックゴルフクラブで開催されたわずか8名による大会が最初です。

https://www.prestwickgc.co.uk/

ちなみにこのときの賞金はわずは25£(約4000円)で、現在は200万£(約3.3億円)ですから時を経てゴルフがいかに産業としても大きくなったのかがわかります。

全英オープンが「The Open」と呼ばれるのは、この当時まだ他のトーナメントがなかったので、区別する必要がなかったことから定冠詞である「The = その」になっています。「そのトーナメント」といえば誰もが”そのトーナメント”であることが分かったということです。

St.Andrews Old Course

St Andrews Old Course 世界一難しいPar.3と言われる11番

意外かもしれませんが、セントアンドリュース・オールドコースで初めて全英オープンが開催されたのは1873年で、最初にトーナメントが開催された年から13年後のことです。第1回から12回まではプレストウィックで開催されています。

それ以来セントアンドリュース・オールドコースは最も全英オープンを開催したコースであり、以来5年毎(たまに順序がかわります)に全英オープンの会場として利用されています。

5年に一度のペースで全英オープンがSt.Andrewsで開催されている理由は諸説ありますが、R&Aという世界のゴルフルールを牽引する組織があることと、次にSt.Andrews Old Courseは世界中のゴルフコース設計の基礎になっている世界を代表するゴルフコースでありゴルフの普及・発展のためにその存在を示し続けること、アメリカに渡って発展した綿密に計画された近代ゴルフに対して、ゴルフの伝統的なコースで自然発生的に誕生したリンクスでの大会を開催することで、ゴルフの系譜や歴史、天候や地形といった人間にはコントロールできない運の要素を強く感じさせること、などがその理由と言われています。

マスターズ・トーナメントが開催されるオーガスタナショナルゴルフクラブの設計者であるアリスター・マッケンジーとボビー・ジョーンズもオーガスタはオールドコースを理想として造ったと語られています。

設計者不明の世界最古のゴルフコース

ゴルフは、西暦1400年頃からセントアンドリュースで楽しまれていたと言われており、中でもリンクス(海と陸を繋ぐ=Link波状地形)に作られた当時22ホールのコースは、設計者不明で、当時はカップもただの穴だったそうで、1つのホールを終了すると、そのホールから2クラブレングス以内にボールを置き、ホールからすくい上げた一握りの砂をティーとして使用してボールを打っていたそうです。そんなグリーンもティーもないリンクスにプレーヤーの増加に伴い1764年にセントアンドリュースゴルフ協会(後のR&A)が設立され、いくつかのホールが短すぎると判断した協会が、それらのホールを結合させたことによりコースは18ホールに縮小されました。これが世界中で標準的なゴルフ=18ホールになったと言われています。

このように世界最古と言われる(実際には当時から他にもゴルフコースらしきものは存在していたと言われており唯一無二ではないとの説が有力)ゴルフコースは、理想的なリンクス地形と、様々な市民の手によるレイアウトの創造、協会による統治などの偶然が重なり、現在でも世界屈指と言われるコースの原型ができあがったと言われています。

名門だけどパブリック

もともと公共施設として楽しまれていたSt.Andrews Old Courseですが、1797年にセント・アンドリュース町議会が破産し、リンクスを地元の商人(個人)に売却。その商人がリンクスをウサギ農場に変えてしまいました。

その後約20年にわたってゴルファーと商人による闘争が続き1821年に1人のゴルファーがリンクスを商人から買い取り決着しました。その個人がR&Aに売却、そしてR&Aが町議会に売却することで、それ以来セント・アンドリュースの市民が所有者となっています。運営はリンクス・トラストという1974年に議会によって設立された慈善団体で、この団体が歴史的コースの維持・管理、世界中のゴルファーにゴルフの故郷での体験の提供をビジョンに運営されています。

住地ゴルフとしてセントアンドリュースのゴルフ会員権がないのは残念ですが、こうして公共施設として誰でも利用できるレガシー(遺産)として存在しているのは嬉しいことですね。

筆者によるSt.Andrews 訪問記はこちらから(外部サイト)

オンラインセミナーのお知らせ

7月8日 19:30〜21:00にゴルフコース設計家の東氏(2022年6月にSt.Anderewsにて研修を受けに行っております)をお招きして、全英オープン直前のコースの様子や、設計者の目からみたコースの特徴などをお話いただきます。

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ぜひご参加ください。

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