歴史的に多くのゴルフコースで女性のプレーが禁止されていた時代を経て、2012年には「オーガスタナショナルGC」が、そして女性排除の方針をとっていた最後の名門と言われた「ミュアフィールド」が2017年に女性の正会員権を認める方針に転換し、東京オリンピックの開催で注目された日本の霞ヶ関GCも2018年に女性正会員の登録を認めるという決定がされました。
日本でも今年から「女性ゴルファーを歓迎する象徴的なイベント」である『世界女性ゴルフデー(World Women’s Golf Day)』が正式にJGAと連携し、全国各地で様々なイベントが予定されています。
世界のゴルファーの男女比
男性ゴルファーからすると、なぜ世界的な名門コースがその伝統を捨ててまで、女性のゴルフへの参加を重要視している理由は「集客」という発想になりがちですが、実はそのほかにも男女平等や多様性といった社会的な理由や、ゴルフ産業が抱える問題の解決に繋がるという深い理由があります。
また世界的に見るとゴルフの歴史が古く、普及している国(主に先進国)ほど女性比率が低く、英国は約14%、日本は約20%、米国は約25%、スイス、韓国、ドイツ、スウェーデンなどが約35%と、ゴルフの歴史が比較的古い先進国で特に女性ゴルファーの参加率が低いという事実があります。
ゴルフ産業に女性参加者が増えることで起こるポジティブな影響
こうした背景を受けて、各国のゴルフ協会は女性ゴルファーを増やすことで、以下のような反響を期待しています。
売上増加
女性ゴルファーの参加率が上がることにより、ゴルフ場やゴルフ用品の売上が向上します。女性向けのゴルフクラブやアパレル、シューズなどの需要が高まり、市場全体が活性化します。
イノベーションの促進(新しい商品やサービスの開発)
女性ゴルファーのニーズに応えるために、各企業は新しい商品やサービスを開発・提供するようになります。例えば、女性向けのゴルフ場イベントや、女性向けのゴルフファッション、ゴルフアクセサリー、コスメなどが増えることが予想されます。
ゴルフ場の多様化
女性ゴルファーが増えることで、家族やカップルでの利用機会が増える可能性があります。その結果ゴルフ場はより多様な客層を獲得することができることはもちろん、子供を連れた来場が当たり前になれば、偏った年齢や性別の分布から脱却し、持続的な産業へと発展し、利用者全体の満足度向上につながります。
女性アスリートの活躍
女性参加率の上昇により、女子プロゴルファーも増加し、その活躍が更に女性のゴルフへの関心を高めることが期待されます。また女子プロゴルファーが活躍することで、スポンサーやメディアの関心も高まり、大衆への露出が増え、ゴルフ産業全体の発展に寄与します。
健康志向の高まり
ゴルフはウォーキングやヨガなどと同様に、怪我のリスクが少なく、且つ適度な運動を伴うスポーツです。女性のゴルフ参加率が上昇することで、健康志向の高まりが促進され、社会全体の運動不足解消やストレス緩和に役立つとも言われています。
参入障壁の低下
女性のゴルフ参加率が上昇することで、「おじさんのスポーツ」「難しそう」「お金がかかりそう」といったゴルフに対するネガティブなイメージが払拭され、社会的にも受け入れられやすくなることが予想されています。これにより参加率が向上することも期待されています。
雇用機会の拡大
ゴルフ産業全体が活性化することでゴルフに興味を持つ人が増えると、ゴルフ場やゴルフ用品店、メディアやメーカーなどでの雇用機会が増加します。ゴルフ産業は世界的に見ても人手不足が深刻化していますから、これも重要な問題解決の一つと言われています。
環境への配慮
ゴルフ場は緑豊かな自然を活かしたフィールドであるため、環境保護やエコロジーへの意識が高まることが期待されます。世界的に見ても環境問題への関心は女性の方が高いというデータがあり、女性の参加率が上昇することで、環境に配慮したゴルフ場の運営や、環境に優しいゴルフ用品が普及する可能性も見込まれています。
これらの要素から、女性参加率の上昇はゴルフ産業全体にとってプラスの効果をもたらし、市場の拡大や多様化、さらなる発展に寄与すると言われています。
女性ゴルファーのセクシャル化問題
一方で女性ゴルファーが新規で参入してきたことで、女性ゴルファーの性的問題も起こっています。
GolfSupport.comは、「男性ゴルファー」と「女性ゴルファー」という言葉を使ったGoogle検索の最初の2ページを分析を行った結果、女性ゴルファーを対象とした検索のうち56%が女性ゴルファーの容姿や、性的な画像に関連する結果でした(男性を対象とした結果は11%)。
特にコロナ禍ではゴルフ参加率も関心率も上昇していますから、女性が安心してゴルフに参加し、外見ではなく、プレーやマナーを奨励されるようになるまで遠い道のりがあることも示されています。
世界の女性ゴルファーに向けた具体事例
女性リーダーの登用
ゴルフ先進国アメリカでも、PGA of Americaに登録されている女性プロフェッショナルの割合はわずか8%、ゴルフ場の女性従業員の比率が12.4%、コース管理のスタッフに関してはわずか1.4%しか女性が就労していないという現状があります。
女性の獲得に前向きなゴルフ場は女性リーダーを指導的立場に置くことで、これらの問題の解決に取り組んでいます。
R&Aでは女性リーダーシッププログラムも開催しています。
食事付きイベント
海外のゴルフ場では「ワイン&ダイン」というゴルフ場主催の食事会の開催が頻繁に行われていますが、その中で特に女性の参加を促すメッセージを出したり、チャリティやドネーションをセットにしたイベントも増えてきています。
協会や団体の取り組み
LPGAの「#inviteHER」、6月第一火曜日の「Women’s Golf Day」、R&Aの「Women in Golf Charter」、「This Girl Golfs」「Golf Girls Rocks」「Drive Women’s Golf」「We Love Golf」などがあります。
このような努力にもかかわらず、女性のゴルフ参加率は世界的に長い間25%で停滞しており、今後も産業が一体となったさらなる努力が求められています。
6月第一火曜日はWomen’s Golf Day
2016年にアメリカで制定されたWomen’s Golf Day(WGD)は、初心者ゴルファーを歓迎する全女性を対象とした世界的なゴルフイベントです。
女性にゴルフを始めてもらうきっかけづくりや、ゴルフを継続してもらうことを目的として活動しています。
日本でも2022年より日本ゴルフ協会が公式にアナウンスを開始したこともあり、徐々にではありますがイベントも開催されています。
住地ゴルフでも、こうした女性ゴルファーの参加に貢献するために、2023年6月3日(土)に女性ゴルファーや、ゴルフを始めたい女性を応援する『Happy Women’s Golf Fes』を初開催いたします。
ぜひ、皆さんの周りの女性ゴルファーの方にもお知らせください。
コメント