ゴルフスイングに正解はあるのか?ゴルフコーチングの歴史と最新のパフォーマンス研究から分かる正しいゴルフの上達法

最近は雑誌やYoutubeなどで多くの上達法やスイング理論が簡単に手に入る時代になりました。

その一方で、「人によってアドバイスの内容が違う」、「タイガー・ウッズはこうだけど、ダスティン・ジョンソンはこうだ」、「昔はこうだったけど、今はこれが最新だ」という具合に、その情報の豊富さ故に情報過多になって「何が正しい情報なのか分からない」と、スイングや上達法に迷っているという方も多くみられるようになりました。

目次

ゴルフの上達法に正解はあるのか?

「ゴルフ上達」は私達全てのゴルファーにとって永遠のテーマです。
今回は、ゴルフコーチングの歴史、そして最新のスポーツパフォーマンス研究からゴルフの上達法について書いてみたいと思います。少し長い文章になってしまったので、結論だけを知りたい方は文末まで一気にスクロールして結論だけを読んでいただいても参考になる内容だと思います。

ゴルフ上達法の歴史は模倣から科学へ

ゴルフに限らず、スポーツから芸術まで古今東西で「上手い人を真似る」というのは最も用いられてきた技術の熟達方法です。
松山英樹選手がタイガー・ウッズ選手のスイングを真似てきたというエピソードからも分かるように、おそらく今のジュニアゴルファーは松山選手のスイングを参考にしているでしょうし、私も含め誰かのスイングを真似たことがないゴルファーはいないと思います。
他人に憧れを抱き、スイングはもちろん、持ち物や考え方まで影響を受けるというのは、私達人間の本能とも言えます。

今でも「○○選手のこの動きを真似てみよう」という上達法は最も人気のレッスンコンテンツであり、それは正解か不正解かという以前に、私達が持つ憧れから発せられる無意識的行動でもあります。

ゴルフは最も科学的な解析が進んでいるスポーツ

その一方で、模倣以外のスポーツの熟達方法については科学的な研究も進んでいて、特にゴルフは定点観測が容易であることから、特にセンシング領域(センサーで体やボールの動きをデータ化して解析する領域)においては最も研究が進んでいるスポーツの一つです。
トラックマンGC Quadによる弾道計測機はもちろん、GearsK-Motionなどの動作解析センサー、BodiTrakなどの足圧計測機、Captoなどのパッティングストローク計測器、ジャスティン・ローズやジェイソン・デイが使って話題となった脳波計測機Focus Bandまで、ボール、身体、クラブ、脳、などあらゆるデータが揃っており、近年ではこうしたデータに基づいたコーチングが主流となっています。

データ計測から分かったスイングに正解がないという事実

またデータを使って定量的にプロとアマの差を比較をすることはほぼ全ての機械で行われていますが、その結果分かっている決定的な違いは、
・プロはボールがクラブの芯に当たる確率が高いこと
・プロは身体の動きの再現率が高いこと
・プロは運動の効率(出力)が高いこと

の3つだけです。

このデータが意味することは、プロは遠くに正確にボールを飛ばすことが出来て、それを再現する能力が高いということです。

一見当たり前に聞こえるかもしれませんが、決定的な事実はこれだけであり、遠くに正確にボールを飛ばすための動きにつていは千差万別であり、また高いレベルで再現する方法も人によって異なるということをデータは示しています。

一方で、例えばクラブの軌道、身体の動きなどについてプロとアマの決定的な違いはなく(傾向はあるが)、プロとプロの比較でも決定的なデータの差が見えることはありません。

実際にプロでも多くのアマチュアに見られる傾向を示すプレイヤーもいるし、一方でアベレージアマチュアでもプロに見られるようなスイングの傾向を持っているプレイヤーがいるという事実です。

これはすなわち「スイングに正解がないという事実」を物語っていると言えます。

スイングに正解がない理由

ではなぜスイングに正解が存在しないのか、その理由として最も有力な科学的な説は「スイングは身体的特徴」によって決まるというものです。

どうしてプロゴルファーでもスイングの形がそれぞれ違うのだろうか?という点に着目して、プロゴルファーのスイング軌道を研究し、プレーンが異なる原因は、根本的に異なるスイングタイプにあるという研究結果を2002年にJim Hardy が「The Plane Truth for Golfers(スイングプレーンの真実)」で発表しました。彼はその後2007年に米国PGAの最優秀コーチにも選ばれています。

その後も「正しいスイングは一つではない」という主張はゴルフコーチングの世界で常識となる中で、いくつかの異なるスイングタイプが存在する理由は骨格が違うからだという研究を「BioSwing Dynamics」で発表したMike Adams(コーチとしてPGAツアーで30勝以上、メジャーで14勝の実績をあげている)が2016年に同じPGA ティーチングアワードを獲得しています。

これらの事実から分かることは、私達は、それぞれに異なった骨格、筋力、柔軟性を持っていて、それによってスイングの正解が異なるという事実です。
また骨格をはじめとした身体的特徴は年齢とともにも日々変化してきますから、普遍的なスイングの真実は存在しないということなのです。

住地倶楽部でもこの身体特性を理解するための生涯ゴルフ合宿を開催しました。

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何を拠り所に練習すれば良いのか?

では「正解がない」となると、私達は一体何を拠り所に上達に向けた練習していけばいいのでしょうか?

現代のスポーツ選手のパフォーマンス研究の第一人者であり、心理学の教授であるアンダース・エリクソン博士によると、熟達者と普通の人の違いは「スキルを身につけていく訓練」すなわち練習量の差であり、同じ練習量でも差がでる理由は「mental representation = イメージ」と「Deliberate Practice = 意図的な練習」で、その2つを選手に与えられる優れた指導者が必要である。と語っています。

冒頭の話に戻りますが、実は模倣による上達アプローチは「モデリング」と呼ばれる最も一般的な上達法の一つであり、模倣によりイメージを明確化することによって練習に意図をもたせるということに効果があります。これは何もイメージなく練習するよりもはるかに効率的だと言うことがパフォーマンス研究でも分かっています。

このことから練習しても上手くならないというゴルファーは、練習の正しいイメージが持てていない、そして練習に意図が組み込まれていない(漫然とボールを打っているだけ)という2つの理由が挙げられます。

ゴルフ上達に必要な練習 3つの要素

ここまで長く書いてきましたが、以上のことから私達が上達するために意識すべきことは
・自分の身体的特徴を知って、自分に合ったスイングを理解する
・自分に合ったモデリングサンプル(模倣対象)を見つける
・練習では常に動きをイメージして、意図をもって練習する

ということになります。

ぜひ参考にしてみてください。

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