関西の雄 よみうりカントリークラブに聞いた、関西オープンの裏側~プロや解説者も絶賛したグリーンはどのように創り上げられたのか?~

日本最古のトーナメントとして1926年より続く歴史ある大会、関西オープン。今年は4月14日~17日まで、兵庫県西宮市のよみうりカントリークラブにて開催され、比嘉一貴プロが14アンダーで昨年の優勝者・星野陸也プロを一打上回り優勝するという劇的な展開となりました。

コロナ禍ということもあり、観客の数を押さえてネットでのライブ配信も全日行われましたが、そのなかで解説者やプロからはこのような声が。

「グリーンが本当に仕上がっている。ここ何年味わったことのない硬さ」(星野陸也プロ)
「いい球を打てば止まるし、少しでもミスをすれば止まらないグリーン」(倉本昌弘プロ)
「オーガスタのグリーンを重ねて見ることができるくらいに、グリーンはハードにコンディションよく仕上がっている」(解説者)

大会に向けてどのような準備をされてきたのか、いかにしてこれほどに評価されるコースコンディションが創り上げられたのかを探るべく、よみうりカントリークラブの西野支配人、髙木コース部長にインタビューしてきました!

目次

関西オープンの準備はいつからどのように?

西野支配人:「開催が決まったのは2018年。前年に関西アマチュアゴルフ選手権決勝を開催し、無事成功したことから、次は関西オープンをという話でKGU(関西ゴルフ連盟)と相談していました。
関西オープンはただ会場を貸すのではなく、KGUと開催クラブ、そして選手の皆さんが一体となり創り上げる大会です。メンバーの皆さまにたくさんのご協力とご理解をいただきながら進める部分もありましたが、閉会後多くのメンバーさまに『またトーナメントを開催してほしい』と言っていただいたのは嬉しかったですね」

髙木部長:「まず取り組んだのは雑木の伐採です。毎年少しづつは切っていたのですが、風通しや日差しを良くして芝全体を整えるために、思い切って大掛かりな伐採を行いました。自然な景観になるように、里山の風景を目指しました。それでも初めはメンバーさまから『冬は寒々しい』『どこまで切るつもりか?』という声もあがりましたが、『良くなるから見ていてください』とお答えしていました。
その結果、今ではコースが明るくなったと好評をいただいています。また季節感や風の向きなども今まで以上に感じられるようになり、より飽きないコースになりました。メンバーの皆さまからも、ありがたいことに“コース管理部に任せておけば大丈夫”という信頼をいただいています。
また、伐採したことで新たな発見もありました。野鳥がたくさん居ることに改めて気付かされたのです。関西オープンのYoutubeでも、鳥のさえずりがずっと聴こえています」

西野支配人:「私も41年勤めていますが、これには驚きました。こんなにも鳥の声が心地よく聴こえるなんてと、伐採の効果を実感しています」

Youtube配信はこちら↓


髙木部長:「間伐の際には、切る木と残す木をしっかり選別しました。四季を感じられる草木や景色、何よりプレーヤーの心をわくわくさせる景色を大切にしています。
コバノミツバツツジは、サクラが散ったあとに咲く植物で、紫色の綺麗な花を咲かせます。この山の木なので、大切に残していたのですが、関西オープンの時にタイムリーに咲いてくれました。この風景がとても心に残っています」

芝の緑に、紫色のコバノミツバツツジがよく映える

コース管理への弛まぬ努力とメンバーとの厚い信頼関係が、素晴らしいコンディションを支えているのだと深く実感しました。そして、気になるグリーンについても伺ってみました!

素晴らしい仕上がりと評されるグリーンはどうやって創られた?

髙木部長:「よみうりカントリークラブのポリシーとして、グリーンのコンパクションの維持は通年心がけている部分ですが、やはり今大会に向けて一番突き詰めたところです。開催期間はコンパクション25ほどを維持しました。一つひとつの根がしっかり砂を抱き込み、細かく新しい根が密度高く育つような方法でメンテナンスしています。
朝晩の刈り込み、エアレーション、上質な砂、そして重たいローラーだと芝を弱めてしまうので軽めのローラーで仕上げ、芝本来の特性を活かしています。
2010年までは6月にミズノオープンが開催されていたのですが、今回はひさびさの大きな大会であり、4月に開催されるのはクラブとしても初めてのチャレンジ。4月にいかにベストな状態に持っていくかは、数年かけて模索していきました。
グリーンの硬さが特徴ですが、精度の高いショットはしっかり止まるように仕上げています。硬くて速いだけでなく、公平なグリーンコンディションを大切にしています」

西野支配人:「継続的に良いグリーンを保つために毎年3回大規模なエアレーションを行っています。日曜夜から月曜にかけて、一気に18ホールすべて行うのですが、よみうりカントリークラブだけでなくウエストコース、ショートコースの他部署のスタッフも総動員して、穴をあける部隊、出た砂・土を取り除く部隊、砂をまく部隊、ローラーをかける部隊が入れ替わり立ち代わりやってきてどんどん作業していく。その様子は圧巻ですよ」

髙木部長:「選手からはこれ以上グリーンを硬くしないでと言われたりしました(笑)。みんなが低い優勝スコアを予想していたのですが、天気もあいまって最高のコースコンディションに持って行くことができ、最終結果は14アンダーでの優勝。
また、大会として“できるだけ多くの選手にチャンスを与えたい”という想いもあって今大会は150人の選手が出場したため、後半組が不利にならないようなグリーンを目指しました」

各所から評されたコースコンディションの裏側には、これだけの努力があったのですね。4月のベストコンディションを探るため緻密に計画され、芝を理解し、丁寧に育んできたからこそ、クラブの皆さまの想いが天にも通じ、天気も味方してくれたのではないかと思いました。
硬くて速いだけでなく“公平な”というポイントも、ゴルファーのチャレンジ精神を掻き立ててくれるコースです。

関西オープンを終えて

クラブ入り口に大きな看板が。大会の感動が蘇ります
フロント横に飾られた、出場選手のサイン

西野支配人:「コロナの影響で、有観客にするかどうかをKGUとぎりぎりまで悩んでいました。結果、感染症対策をしながら4日間で5700人を動員し、練習日も含めて5日間のネット配信を行うという格好になりました。配信だとどこでも見られ解説も加わるので、双方の観戦方法を両立するのが将来的なモデルになるだろうと思っています。
ネット配信は全ホール映るので、メンバーの皆さまは自身の思い出や経験と重ねて楽しんでいただいたようで、ホームコースでプロがプレーするのを見て感動したと仰っていただきました」

髙木部長:「大きな大会は久しぶりということもあり、従業員一同、ハード面・ソフト面ともに技術の伝承という意味合いも非常に大きかったです。コースコンディションを参加選手やクラブメンバー、メディアからも評価いただけたことは、我々の喜びや誇りにも繋がりますし、モチベーションも上がって一体感を感じられましたね」

よみうりカントリークラブの特徴

髙木部長:「グリーンももちろんですが、グリーンからティーを振り返ったときのバックショットが、1ホール1ホール違う。そこをぜひ見てほしい」

西野支配人:「当クラブは上田治氏の設計です。上田氏のダイナミックさ、自然の流れを活かすという特徴は大切にしながら、2008年に改造設計 長渡譽一氏、監修 鈴木規夫プロにより、リニューアルしています。そのコンセプトは全てのゴルファーがそれぞれの技量に応じてチャレンジ出来ること。ティーイングエリアも5つあり、アベレージゴルファーから上級者まで、それぞれの攻略ルートや楽しみ方があります。“誰もがゴルフの真髄を味わえるコース” それが一番の特徴です」

関西オープンだけでなく、普段からいかにして素晴らしいクラブライフやコース作りを目指していらっしゃるのかを実感するインタビューとなりました。
よみうりカントリークラブの入会に関するご相談は、住地ゴルフ 大阪(06-6244-0072/osaka@juchi.jp)までお問い合わせください。

今回の記事のご感想や、よみうりカントリークラブへのご質問などは、こちらよりお寄せください。https://juchi-club.jp/contact/

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