同じPGAでもこれほど違う!米国PGAのライセンスを日本人女性で初めて取得した野村祥子氏のゴルフストーリー

目次

はじめに

いつも住地倶楽部メールマガジンをお読みいただきありがとうございます。

今回は、米国PGAのティーチングプロ資格を持つ日本人女性 野村祥子氏に、ご自身の経験をご紹介いただきます!

野村氏が住まれていたアメリカ ミシガン州でのお話を中心に、なぜ日本ではなくアメリカのPGAメンバーとなられたのか?米国PGAメンバーになるまでのながーいプロセス、その根底にある米国PGAと日本PGAの違いなど、幅広く語っていただきます。

また、野村氏を招いたオンライントークイベントを3月3日(金)19:30より開催いたします。本記事をお読みいただいたうえで3月3日のイベントもご参加いただき、ぜひ貴重なお話を直接お聞きいただければ幸いです!

それでは、どうぞ!

野村祥子氏のプロフィール

皆様はじめまして、米国PGAメンバーの野村祥子と申します。この度は住地倶楽部セミナーの講師の機会を頂きまして誠にありがとうございます。よろしくお願い申し上げます。

<プロフィール>

夏はアメリカのミシガン州、冬は日本でインストラクターをしています。少し私のプロフィールをお話しますと、東京出身、大人になるまでゴルフとは無縁でして、小中学校時代は競泳、高大はテニスをやっていました。サラリーマンはゴルフだ!と思ったので就職祝いに父にハーフセットを買ってもらいましたが、13ヶ月で寿退社し、夫(日本人)の駐在するミシガンへ引っ越しました。
ミシガンは全米3番目にゴルフコースが多い州でして、近所のあちこちにコースがあり、夏は涼しく快適にラウンドできます。空振りやスライスを打ちながらどっぷりとゴルフにハマりました。最初はハンディ14の夫、グレッグ・ノーマンとヘイル・アーウィンのレッスンビデオが私の先生でした。2回目のミシガン駐在では年に150ラウンドをこなすクレイジーゴルファーとなり、ピーク時のハンディは3でした。ゴルフはもちろん楽しいですが、仕事も勉強もしない快楽を追い求めるような生活をずっと送っていて良いのだろうか?という悩みもありました。
「ゴルフして遊んでばかりいないで、ゴルフで身を立てる方法を考えなさい」という母の小言がきっかけで、実技試験と筆記試験を受けてPGAメンバーの資格を取り、それが私のセカンドキャリアとなりました。

日米のPGAメンバーに求められる役割の違い

米国のPGAと日本のPGAは全く別の組織ですが、共にゴルフプロをサポートし、ゴルフの普及に尽力するための非営利団体です。双方のPGAの1番の違いは、メンバーに求める役割にあると思います。
2009年1月、私がメンバーになった時にPGAから送られてきたフォルダにはこう書かれていました。「PGAメンバーは:技術確かなインストラクター、広報担当、ビジネスマネージャー、エチケットコーチ、インスピレーショナリスト、卓越したプレイヤー、モチベーター、トーナメントディレクター、ファイナンシャルコンサルタント、ルールのオーソリティ、クラブフィッター」…とリストはずーっと続いて、ラスト37番目は「友達」でした。
その下に、「最高のゴルフプロフェッショナルはたくさんの名前(役割)を持つけれど、つけるバッジはただ1つ」とあり、PGAカードとお免状が添えてありました。

アメリカのPGAメンバーはコースの責任者

米国PGAメンバーの約7割はゴルフコースで働き、ヘッドプロやアシスタントプロ、インストラクターになります。
ミシガンのプライベートとパブリック両方でアシスタントプロとして働いた経験がありますが、小さなパブリックコースですと、プロ1-2人で日日のカウンター業務、イベント開催、レッスン、商品管理、シフト決めやバイトの採用などコース内のオペレーションほとんど全てをやります。シーズン終わりなどスタッフが少ない時は、カートを洗ったりホットドッグやドリンクをサーブしたりもしました。
高級リゾートやプライベートコースになると規模に応じてスタッフの数は増え、プロの数も3人、5人と増えて行きますが、コースとプロショップの経営・運営はPGAのプロが担います。アメリカではほとんどのコースにPGAメンバーがいて、レッスンを受けたり、時には一緒にラウンドしたり、コースにチェックインする時やクラブ・ボールを買う時には相談に乗りアドバイスをしてくれる、プレイヤーと一番近くで接する身近な存在です。
そしてラウンド数、売上などを管理し、コンペやリーグを取りまとめ、コースの保全や農薬散布のスケジュールなど、オーナーやグリーンキーパーと密にやり取りをしながら中心となって運営を行います。

日本のPGAのホームページによると、メンバーにはTCP(ティーチングプロ)とTP(トーナメントプロ)の2つのカテゴリーがあります。ティーチングプロはゴルフを教えることができるプロフェッショナルであり、「ゴルフ指導だけにとどまらずアマチュアゴルファーに真に信頼されるプロフェッショナルとなることを目指す」とあります。
日本のコースで働くティーチングプロがコースの経営や運営に携わることは少ないようで、文字通りティーチング関連に特化した仕事であるようです。

資格取得のプロセスの違い

求められる役割の違いから、資格取得のプロセスにも違いがあります。
これもホームページからの情報ですが日本PGAのティーチングプロになるには、ラウンド、筆記試験、面接審査、実技や座学を含んだ200時間ほどの講習があるようです。
米国PGAの場合は、ツアープロを除きどのカテゴリーでもプログラムは共通です。ラウンド、テキストによる自主学習と課題、PGAへの課題提出、3回に分けて17科目の筆記と8つのシミュレーションテスト、毎試験後の3-5日の講習があります。ゴルフルール、スイング原理&分析、クラブリペア、運動生理学、芝生管理などのゴルフ関連の教科に加えて、会計学、商品マーケティング、人材マネージメント、労働関連の法律などビジネス関連の教科も多くありました。

PGA提携大学が全米に19あり、そこでは卒業時にビジネスの学位とPGAメンバーの資格が一緒に取得できます。自主学習プログラムと大学コース、いずれも勉強に加えて、メンバーになる前に36ヶ月(大卒の場合は24ヶ月)のゴルフコースでの実務経験が義務付けられています。いわば丁稚奉公です。ゴルフが上手で教えることができるだけでなく、ビジネスマンとしてもゴルフ業界に貢献できる資質が求められます。

PGAの違いは文化の違い?

こうしたPGAメンバーの違いは、日米のゴルフ文化の違いから生まれてくるように感じます。日本のゴルフコースはゴルフをする人だけが利用しますが、アメリカではゴルフをしない人も利用できて、街とのつながりが強く、ラウンド以外の目的でゴルフコースを楽しむための工夫が散りばめられています。ゴルフコースはみんなにとって小さい時から馴染みのある場所なのです。

3月3日のオンラインイベントでは、アメリカ、特にミシガンでのゴルフコースやプライベートコースのあれこれをお話したいと思います。

日本のコースと異なるところがたくさんあると思うので、ぜひ新たな発見なども感じていただきながら、気軽に楽しく聞いていただけると嬉しいです。

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